元はとある村のはずれに暮らしていた刀匠。

ある日村の農作物を荒らすことで嫌われていた一匹の子狐が彼の住居に転がり込み、カガリはそれを気まぐれで手当と食事を与えて山に返した。

数週間後、今度は身の丈に合わない大きな傘を被った少年がカガリを訪ね、刀の制作を依頼した。


お金も何も持っていなかったがどうしても刀を作って欲しいと玄関から離れなかった為、カガリは使い終わったら返しに来いと約束を取り付けて刀を一本打つことにした。

この刀が数百年後に妖刀となる粒子波紋刀五拾参式のベースでありカガリの遺作となっている。


元々代金も何もなく、返却するという前提だった為、その刀は未完成の状態で少年に渡された。(それでも刀としては十分店に並べるほどの申し分ない出来だったが、カガリが自分好みの装飾をしなかったので未完成とされている)

後日、村に住んでいたとある男が見知らぬ子供に殺されたと騒ぎがおきた。


その晩少年がカガリを訪ね、血に濡れた刀を返却した。

村人に殺された母の仇を討つために貴方に頼った、貴方は村の輪に居らず、私を助けたから同類だと思ったと少年は語り、カガリに礼を告げると山へと走り去っていった。

カガリはその後ろ姿が狐に変わるのを見て、なんとなくその後を追った。


子狐の姿をしたその土地の一種の妖の類はカガリに罪をかぶせて村人を喰らっていた。

カガリはそれを知りはしなかったが、ただ自分の刀を使って行われた不義理を精算するために自分用の護身刀を携えて狐を追いその住処に辿り着くと、カガリは子狐を斬り捨てた。


妖の狐を斬り、家へ戻るとカガリが村の男をころした少年に関わっていると騒ぎが起きており、家に戻れなくなったカガリは踵を返して数日山に留まった。

それからそう日が立たないうちに近辺の火山噴火に巻き込まれ逝去、刀神として昇華し妖狐の血を吸っていた刀に宿ることとなる。